皆さんこんにちは、わかまつ呼吸器内科クリニック院長の若松です。
前回の記事「睡眠と食欲は密接に絡み合っている」は大変反響がありこちらが驚くほどでした。
しかしそれと同時にどの位眠れば良いのかという睡眠時間に対しての質問を多く頂戴しましたので、
今回はその点について解説したいと思います。
※動画でも解説しましたので、お時間のある方は下記をご覧ください
理想的な睡眠時間は7時間位という話をお聞きになった事があるかと思います。
この根拠となっている研究は幾つかありますが、最近のものですと2020年発表された論文があります。
日本人約10万人を対象に睡眠時間と死亡率を評価した大規模研究です。
この結果、7時間睡眠の方が最も死亡数が少なかったのです。
このデータを元に7時間睡眠が最も良いと言われるようになった訳です。
しかし実はこのデータはあくまで統計データであり、
なぜ7時間が良いのか明確な理由はまだ分かっていません。
睡眠時間が短すぎる人は病気になりやすく、
睡眠時間が長い人はすでに何らかの病気を持っている人が多いのではないかと考察されています。
では個人としてはどのように考えれば良いのでしょうか。
実は適切な睡眠時間というものは各個人特有のものであり、
また年齢によっても変化するものであることが分かっています。
6時間位眠れば元気な人がいれば、8時間以上寝て元気な人もいます。
有名なのはアインシュタインとナポレオンですね。
アインシュタインは毎日10時間ほど寝ていたそうです。
ナポレオンは4時間程度だったと言われていますね(しかし昼寝をよくしていたそうですが)。
また年齢によっても必要な睡眠時間は変わってきます。
中学生〜高校生で8.5〜9.5時間
18歳以上では7〜9時間
45歳では6〜7時間
65歳では6時間
以上より年齢とともに必要睡眠時間が短くなる事がお分かり頂けると思います。
よく眠れなくなり睡眠に不安を感じる方が増えるのは、
年齢とともに睡眠が上手に取れなくなるため致し方ない部分もあるのです。
10年前と同じ睡眠時間が眠れないとお悩みの方は寝ようとしすぎかもしれません。
最後に自分に適した睡眠時間の見つけ方についてです。
- 毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きてみる。
- めざめが良く昼間に眠気で困らなければその睡眠時間が適切。
- もし眠気で困るようなら睡眠時間を伸ばしてみる。なかなか眠れない時や早く起きてしまう時は睡眠時間を短くする。
- 昼寝をしてしまうと夜に眠れなくなってしまうので極力避ける。
- 休日に2時間以上多く寝ている人は明らかに平日の睡眠不足。
- 夜に良く寝るためには昼間に活動的に生活する事が必要。
- 寝ても寝ても眠くなってしまう場合や、眠れずに生活に支障が出てしまう時は病気を疑い相談する。
以上となります。
睡眠というものはとても個人差が大きいものだと感じています。
睡眠は「他人は他人・自分は自分」という考えが必要だと思います。
自分に合った睡眠時間で生活する事は健康的であるだけでなく、
日常の精神的・肉体的能力をも左右します。
ぜひ自分に最適な睡眠時間を見つけて頂き、健康的な日常をお送り下さい。
ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。
若松俊秀