新しい睡眠薬(デエビゴ・ベルソムラ)と他の睡眠薬との違いは?その特徴と問題点は?睡眠専門医が解説します。

新しい睡眠薬(デエビゴ・ベルソムラ)と他の睡眠薬との違いは?その特徴と問題点は?睡眠専門医が解説します。

 

最近、患者さんからデエビゴって怖い薬なのかと質問を頂戴しました。

お話しを伺うと、ネットで睡眠薬を調べた時にデエビゴの副作用についての記載を読まれたそうです。

そこには大変怖い夢を見て辛かった経験が記載されていたそうです。

デエビゴやベルソムラはオレキシン受容体拮抗剤という分類の比較的新しい睡眠薬であり、以前から使用されていたベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬とは作用機序の異なる薬となります。

今回はこの新しい睡眠薬について解説致します。

 

デエビゴやベルソムラは他の睡眠薬と何が違うの?

まず睡眠薬について解説致します。

今も睡眠薬の主流となっているベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系ですが、薬剤名ではマイスリー、アモバン、ルネスタ、ハルシオン、デパス、レンドルミンなどが有名でよく使用されています。これらの薬は脳の活動を抑える働きを持ち、その結果として眠気が生じます。

一方、デエビゴやベルソムラはオレキシン受容体拮抗剤に分類され、覚醒状態を維持するオレキシンの働きをブロックすることにより睡眠をもたらす作用を持っています。より自然な睡眠をもたらすと言えるでしょう。

 

デエビゴやベルソムラの良い点は?

デエビゴやベルソムラの特徴はマイルドに効くということと、依存性がほとんどないとされていることです。依存性で悩まなくて良いのはとても嬉しいですね。

対してマイスリーやルネスタは内服して早期に効果を出してくれるのが特徴になります。

まとめるとデエビゴやベルソムラは途中で目が覚めてしまう人(中途覚醒)に向く、マイスリーやルネスタはなかなか眠れない人(入眠困難)に向くと言えるでしょう。

 

デエビゴやベルソムラが怖いと言われるのはなぜ?

問題点ですが、悪夢を見ることがあるという点と、飲み合わせの悪い薬があるという点です。

日中に眠気が残存する可能性があるのは今までの睡眠薬と同様です。

悪夢についてはそれほど多い頻度ではないようですが、この薬を飲むと嫌な夢を見てしまうという方がいるそうです。残念ながら有効な予防方法はないため、どうしてもご自身に合わなければ中止することになります。

さらに併用禁忌の薬があります。抗生剤の一部、抗不整脈薬の一部と飲み合わせが悪いため、どうしても使用できない人もいます。

当院は呼吸器内科を専門としており抗生剤を使用する頻度が多いため、実は使いにくい睡眠薬となります。

 

私も徐々にこのオレキシン受容体拮抗薬を処方するようになっています。

今までのところこの薬で辛い症状を認めた方はいらっしゃいません。

(効かなかったという方はいますが)

 

今回の内容が皆様の参考になれば幸いです。

 

 

わかまつ呼吸器内科クリニック

若松俊秀

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